スマホ顕微鏡「ミジンコスコープ」の作り方と使い方

 この記事では、スマートフォンやタブレットPCに搭載されているカメラを使って、小さな生物の写真や動画を撮影することを可能にするミジンコスコープの紹介をします。

まえがき

 2012年にニュースサイトの RocketNews24 で「ホントにできた! 一滴の水だけで iPhone を顕微鏡なみの超接写カメラにする方法」という記事が紹介されました。
 当時、実際に試してみて「なかなか綺麗に写るものだなぁ~」と感心しました。特に、水滴の大きさを変える1)より正確には水滴で作る球冠を一部として持つ球の半径を変える。と倍率が変わることに気づき、とても面白く思いました。スポイトで様々な大きさの水滴を作ってみたり、倍率を一定にするためにスマホのカメラのレンズの上に置いた50円玉や5円玉の穴に水を入れ、その水が表面張力で溢れずに張り出し留まっている状態をレンズとして利用してみたりもしました。
 しかし、本格的な顕微鏡を持っていたため、その後、この仕組みを使う機会がありませんでした。
 それが今年の11月、Twitter 上での会話の中で、ミジンコらしきものをマクロレンズを使わずにどのようにしたら撮影できるかという話の流れになり、2012年に行ったこの試行錯誤を思い出し、再びスイッチが入り新たな試行錯誤を行いました。
 この記事は、その試行錯誤のまとめをミジンコスコープの紹介として記述したものです。
 
 

ミジンコスコープとは

 
 ミジンコスコープとは、次の図のようなとても単純な仕組みの簡易な顕微鏡につけた名前です。
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 スマホやタブレットPCのカメラのレンズの上にグリセリンの液滴でレンズを作っているだけの簡易な顕微鏡で、いわゆるスマホ顕微鏡の一種と言えるでしょう。

 次の動画は、この仕組みを使って撮影したものです。iPad mini 2のフロントカメラで撮影しています。

 とても単純な仕組みの顕微鏡ですが、このような動画を撮ることができます。なかなか綺麗だと思いませんか?

 この記事では詳しく説明はしませんが、いろいろと工夫を加えると、次のような動画を撮ることもできます。

 上の二つの動画は iPad mini 2のバックカメラで撮影しています2)現状では、バックカメラの方が、フロントカメラよりも解像度が高い機種が多く、私が持つ iPad mini 2もそういう機種でした。そのため、フロントカメラより解像度の高い動画をバックカメラで撮影したくなりました。上の二つの動画は、こういった経緯で撮影したものです。簡単に撮影方法をご紹介すると、これらの動画は、高倍率で撮影するためにバックカメラのレンズの上にグリセリンでかなり小さい液滴を作り、さらに歪の気にならないところまでズームして撮影しています。カメラの解像度が高ければ高い程、その程度によってかなりズームをしてもそれなりに綺麗な動画を得られます。3)多くの機種で、フロントカメラよりもバックカメラの方が解像度が高いので、フロントカメラでのミジンコスコープに慣れたらバックカメラを使ったミジンコスコープに挑戦されることをお勧めします。ご要望が多いようであればバックカメラを使ったミジンコスコープの作成方法の記事を書くかもしれません。

 ここまでの動画をご覧になって、自分のスマホやタブレットPC でも撮影してみたいと思われた方は、是非、読み進めて頂ければと思います。
 ミジンコスコープの仕組みはとても単純なので作り方も簡単です。そして使い方も難しくありません。

ミジンコスコープの基本的な仕組み

 
 この記事でご紹介するのは、「フロントカメラを使ったミジンコスコープ」4)「バックカメラを使ったミジンコスコープ」は、フロントカメラを使ったものよりも少し複雑で予算も余分にかかります。です。
 「フロントカメラを使ったミジンコスコープ」の仕組みは、とても単純です。スマホやタブレットPCのフロントカメラのレンズの上にグリセリンの液滴でレンズを作り、スライドグラス(またはカバーグラス等の透明の板)上の観察対象(試料)にピントが合うように種類の異なる硬貨や厚さの異なる紙を組み合わせて台を作るだけです。そして後でご紹介するように、この仕組みにいくらかの工夫を加えることで、様々な倍率5)「様々な倍率」を言い換えると「様々な形状のグリセリンで作る液滴」。や照明のもとで、よりきれいな像を得ることができます。なお、iOSに付属しているカメラアプリはフロントカメラのズームに対応していませんので、もし撮影時にフロントカメラのズームを利用したい場合には別のカメラアプリを導入する必要があります。わたしは、Videonというアプリを利用しています。

やってみよう

 では、必要なものを用意して、実際にミジンコスコープを作成し、何かを覗いてみましょう。

必要なもの

 ミジンコスコープを作成するために必要な材料は以下のものだけです。代用できるものがあったり必須でないものもありますので、その点を注意しながら読んでください。

  • 硬貨を6枚ぐらい:
    硬貨であれば何円でもOK。これらを重ねていって大まかなピント合わせを行います。
  • 紙を1枚、または、厚さの異なる紙を2枚:
    細かなピント合わせに使います。これらの紙から、一辺が1.5cm~2.0cmぐらいの正方形の紙を必要により切り出していって硬貨の上に重ねていくことで細かなピント合わせを行います。もし可能であれば薄い紙6)たとえばトレーシングペーパー。と厚い紙が用意できるとベストです7)厚い紙だけで正確にピントが合わなかった時に、薄い紙を用意しておけば正確なピント合わせができる可能性が高くなります。
  • スライドグラスか長辺が32mm以上のカバーグラス8)たとえば24×32mmのカバーグラスであれば大丈夫。、または、ペットボトルなどを切って作った透明の板9)これも長辺が32mm以上あれば大丈夫。
    この上に、観察したいもの(試料)を載せます。
  • トレーシングペーパー1枚(コピー用紙でも代用できます):
    照明の光を均一な拡散光にするために使用します。トレーシングペーパーがあればベストですが、なければコピー用紙でも構いません10)コピー用紙を使って作られる拡散光は、トレーシングペーパーよりも暗くなり、照明の光の強さによっては像がノイジーになる場合があります。
  • 厚紙1枚(必須ではありません):
    主に高倍率で撮影する時に、この厚紙に小さな穴を空けて作った”絞り(しぼり)”を利用します。倍率が低いとき11)言い換えると、小さな液滴をレンズとして用いないとき。は不要です。12cm×3cm前後あればいいので、お菓子のパッケージや製品の箱などを利用するのがいいと思います。
  • グリセリン12)顕微鏡用の油浸オイル(イマージョンオイル)でもいいです。(水でも代用できます):
    液滴がレンズになります。水でも問題ありませんが、水はグリセリンと比べて粘りがなく蒸発しやすいので、小さな液滴でレンズを作り難かったり、それを作れたとしても維持するのが難しい、といったデメリットがあります。グリセリンを使えば、一旦うまく作れた液滴によるレンズは拭き取るまで使えます。
  • スポイトまたは小型の注射器、あるいは爪楊枝などの先がとがった棒:
    液滴でレンズを作る時に使います。

作り方と使い方の基本的な手順

 必要なものが揃ったら、実際に作って使ってみましょう。手順は、とても簡単です。

1. 作り方:フロントカメラのレンズの上にグリセリンでレンズを作ろう

 グリセリンで作った小さな液滴をレンズとして使うため、グリセリンが必要です13)前述したように水で代用することもできます。。幸いグリセリンは薬局で簡単に購入できます。もっとも小さいサイズで十分です14)100mlサイズであれば、400円前後で購入できるでしょう。

 グリセリンで小さな液滴のレンズを作るには、先の細いスポイトか小型の注射器、あるいは爪楊枝のような先の細い棒を使います。
 スポイトや小型の注射器を使えば、よほど不器用でない限り、簡単に様々な大きさの綺麗な液滴が作れますので、とてもお勧めです。ただし、グリセリンをスポイトや小型の注射器で吸うとき、できるだけ空気を吸わないように注意してください。空気を吸ってしまった場合は、液滴を作る時に、液滴の中に空気が入らないように注意してください。グリセリンの液滴で作ったレンズの中に、空気が入り気泡が出来てしまうと、それらひとつひとつが、像の中でゴミとなって現れたり、像を無駄に歪ませたりします。従いまして、空気が液滴に入って気泡ができてしまった場合15)目に見えないような気泡が作られている場合もあります。この場合は、2.の工程で泡のようなものが写っていることに気が付きますので、その場合はそこで作り直してください。は、必ず作り直してください。
 爪楊枝などの先が細い棒を使って液滴のレンズを作る場合は、まずそれをグリセリンの瓶に直接入れるなどして先を濡らし、次に棒の先を下に向け、その棒をたどって垂れ落ちてきたグリセリンの液滴を利用してレンズを作ることになります。おそらくこの方法は、どなたかやっても最初はなかなか難しいと思います。自分を貶めることなく、綺麗な液滴のレンズができるまで何度もトライしてください!ティッシュペーパーで拭くだけで、グリセリンは、気にならない程度に取り除けます。

 注意点は次の二つです。
 一つ目は、どちらの方法16)スポイトや小型の注射器を使おうが、爪楊枝などを使おうがということ。で行うにしても、レンズの傍にマイクなどの穴がある場合は、そこにグリセリンや水が入らないように注意してください。特に、グリセリンを拭いて取り除くときは注意してください。
 二つ目は、グリセリンの液滴はカメラのレンズの丁度真ん中に落とす(あるいは、付ける)ようにしてください。カメラの映像を観ながら行うとコツがつかめると思います。

 グリセリンの液滴がカメラのレンズの上で新たなレンズとなります。そのレンズが、次の写真にあるような感じに作られていればOKです。
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 注意:私のiPad mini 2は、表面にフィルムを貼っているのですが、液滴を作成する上でそのフィルムが邪魔なので写真で写っているようにレンズの周りだけハサミで切り取っています。

 最初は小さな液滴のレンズを作ろうとせずに、カメラのレンズの穴を覆う綺麗な形の良い液滴を作ることを心がけてください。

2. 作り方:グリセリンの液滴で作ったレンズの具合を確認してみよう

 グリセリンの液滴で上手くレンズが作られているかを確認してみましょう。
 まずカメラを起動してフロントカメラを選択してください。次の写真のようにどこにもピントが合っていない映像17)部屋の照明の種類や強さそして場所によってこの映像の作られ方は変わります。しかし、うまく液滴でレンズが作られていたならピントが合っているところが一つもないという点で一致します。が写っていれば、上手くレンズが作成できている可能性が高いです。
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 ピントがあっている部分がもしあれば液滴を作り直してください。

 次に、シャープペン等の先が細くなっているモノを用意し、その先端を作成したレンズの上にゆっくりと近づけて、ピントを合わせてみてください18)グリセリンの液滴で作ったレンズをその先で触らないように注意してください。。そして、次の写真のように拡大された状態でピントがあったならば、レンズの準備は完了です。
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 注意:この工程では、照明器具をレンズの上から当てる必要はありません。部屋が適度に明るくなってさえいれば、問題なくピントを合わせることができます。

 この写真ではシャープペンの先をグリセリンで作った液滴のレンズに近づけています。
 ところで、写真の像はあまり綺麗な写真とはいえませんね。照明の位置が悪く、画面の明るさにムラがあります。この解消方法として、後ほど、トレーシングペーパーを使う方法をご紹介しますので、お楽しみに。

 
 ここでもし可能であれば、ピントが合った先が端末の面19)カメラが付いていたり、指で触って操作ができる液晶がついていたりする面のことを言っています。からどれぐらいの高さにあるかを大体でいいので測っておいてください。私のiPad mini 2では、液滴の大きさによりますが大体5mm前後でピントが合います。測っておけば、常にその高さの前後でピントが合うわけですから、この後で行うピント合わせの工程において、硬貨や紙を積み上げるときの大体の目安にすることができるでしょう。

3. 使い方:撮影する試料を用意しスライドグラスの上に載せよう

 さて、あっという間に、使い方の説明です。
 まず、スライドグラスやカバーグラス、またはペットボトルなどの透明な容器から作った板の上に、撮影したい試料を載せましょう。最初は、生きた動き回る生物よりも、1mm前後の消しゴムのカスとか、部屋に飾っている花があればその一部や花粉などの動かないものがいいでしょう。永久プレパラートをお持ちであればもちろんそれで充分です。どうしても動いているものにチャレンジしたいという方は、家の水回りに発生するヌメヌメした部分を載せてもいいでしょう。

 以後この記事では、ビクセンの「タケの茎の横断面」という永久プレパラートを試料として用いて撮った像で説明を続けます。

4. 使い方:硬貨や紙を積んでいってピントを合わせよう

 では、ピント合わせをしてみましょう。手順は簡単、硬貨や紙を積んでピントが合う位置を見つけるだけです。効率良くやるには、手順2.で測った”端末の面からの高さ”を利用します。たとえば、10円玉の高さは約1.5mm、プレパラートの厚さは約1mmですから、硬貨や紙を積んで、私の端末でピントが合う高さ約5mmにするには、10円玉2枚(約3mm)を重ねて残りは紙20)必要により一辺が1.5cm~2.0cmぐらいの正方形の紙を大きな紙から切り出して作ります。で調整すればいいことが分かります21)3mm[10円玉2枚]+1mm[プレパラート]=4mmなので、もう一枚10円を重ねるとピント位置を越えてしまう可能性があるため、10円は2枚重ねが限界です。それから、測った高さが余りにもいい加減だった場合はうまく計算通りにはいかない場合もありますので、紙を積んでいってピントがどんどん合わなくなる場合は積んでいる硬貨の数を減らしてから紙を積み直してください。
 次の写真は、ピントが合った状態を撮影したものです。
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 うまくピントを合わせることができたでしょうか?
 作り方と使い方の基本的な手順はこれで全てです。

像を良くする工夫

 ミジンコスコープはとても単純な仕組みですが、工夫をする余地がたくさんあります。ぜひ、いろんな工夫をしてみてください。
 ここでは、私が行った初歩的な工夫を二つご紹介します。

拡散光を利用する

 暗い照明よりも適切な明るさの照明を試料に当てたほうが、動画も写真も綺麗な像が得られます。暗いと、ISO感度が高くなりノイジーになるためです。しかし、明る過ぎると露出オーバーとなり白く飛んだ部分と黒く塗りつぶされた部分が出来てしまいます。さらに、複数の光源を持つ照明の場合は、より像が乱れます。
 たとえば、次の写真は、3つの高輝度LEDを持つ照明器具を用いて、iPad miniのカメラの真上から強めの光が当たるように配置し撮影したものです。
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 この状況を改善するには、トレーシングペーパーを使います(コピー用紙でも代用可能です)。

 次の写真の様に10cm×12cmぐらいに切り、折り目を入れてブリッジを作り、試料の上から覆います。
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 すると、これだけで像は次の写真のようになります。
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 このトレーシングペーパーを使う方法は、Leyeなどのスマホ顕微鏡でも利用することができます。
 次の動画は、Leyeを使って、トレーシングペーパーによる拡散光で撮影したものです。

絞りを設置する

 グリセリンでより小さな液滴を作り高倍率で撮影しようとすると、トレーシングペーパーだけでは綺麗な像を得られなくなっていきます。

 具体的に写真でみてみましょう。
 次の写真は、トレーシングペーパーを使わずに撮影したものです。
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(写真1)


 歪みが多く像も荒れていますね。

 この状態でトレーシングペーパーで覆うと次の像が得られます。
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(写真2)


 歪みが和らぎ像がかなり整っていますが、ソフトフィルターが掛かったような像になりました。これはこれで表現として生かせそうですが、資料として使うにはいまひとつです。

 ここで、次のような”絞り”を作って載せます。
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(写真3)


 厚紙から12cm×3cmの紙を切りだし、その中心にシャープペンを使って直径3mmの穴を空け、両端から2cmの部分を折って脚を作り、その内側を黒く塗っています。
 ”絞り”の位置は、写真にあるように、穴から届く光がレンズの上に丁度当たるように調整します。この状態で撮影したのが次の写真です。
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(写真4)


 写真1と比べて、コントラストが強くなりました。

 さらにこの状態で、トレーシングペーパーで覆ったのが、次の写真です。
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(写真5)


 写真4と比べてコントラストが弱まり自然な写真になっています。写真2と比べてもソフトフィルターが掛かったような像ではなくなっています。ただ、周辺の像がぼやけてしまっていて、写真2や写真4と比べてどれがよいか悩ましい状況かと思います。しかし、この写真5の状況で中心だけをズーム機能で切り取ると、かなり綺麗な像を得られますのでカメラの解像度が高い場合は有効です。例えば、先に紹介したバックカメラで撮影したミジンコの動画はこの方法22)具体的には、高倍率で撮影するために、小さな液滴を作り、綺麗な像を得るために絞りを設置し像を整えるためにトレーシングペーパーで覆い、さらにズームして綺麗なところだけを切り出すやり方で撮影しています。で撮影しています。

 あとがき

 さて、如何でしたか?
 やってみようかなぁと感じて頂けたなら幸いです。

 ここで紹介した”絞り”を設けたり拡散光を作るといった工夫は序の口で、たとえば、今回いい加減にしている照明装置に拘ると、まだまだ色んな工夫ができます。
 たとえば、照明を工夫することで、次の動画の様な暗視野の像を得ることもできます。


 また、記事中にもいくらか触れていますが、機種によっては、バックカメラを使うとフロントカメラよりも解像度の高い像を得ることができますので、バックカメラを利用できるように照明や仕組みを工夫する価値は十分にあるでしょう。

 不明点や分からないところなどは、コメント欄やtwitterなどで、気軽に尋ねて頂ければと思います。
 間違いや不足していることは、その都度、追記・訂正していきたいと思います。

おまけ動画

ミジンコスコープで撮影したミジンコ以外の生物の動画です。
何をどんな感じで撮影できるかを考える上でのご参考に。

高倍率と書いてあるのは小さな液滴のレンズを作って撮影したもので、低倍率はそうでないものです。
どれも、iPad mini 2で撮影しています。

クマムシ

(高倍率、フロントカメラ、ズームなし)

 
 

(高倍率、バックカメラ、ズームあり)
口器を動かしながら歩いている様子。

ワムシ

(低倍率、バックカメラ、ズームあり)

 
 

(高倍率、バックカメラ、ズームあり)

ツリガネムシ

(低倍率、バックカメラ、ズームあり)

ディレプタス(Dileptus)の仲間かな

(低倍率、バックカメラ、ズームあり)

ボルボックス

(高倍率、バックカメラ、ズームあり)
鞭毛を撮影しようとかなり小さな液滴のレンズを作って撮影した動画です。液滴のレンズがカメラのレンズよりも小さいため、液滴のレンズの周りから光が漏れ、動画の中央から左下に少しずれたところに丸いハイライトができています。

解像具合としては、鞭毛の根本が少し写っているかなぁという感じですね。

ウズムシ

(低倍率、フロントカメラ、撮影後にアプリでズーム)

Footnotes

Footnotes
1 より正確には水滴で作る球冠を一部として持つ球の半径を変える。
2 現状では、バックカメラの方が、フロントカメラよりも解像度が高い機種が多く、私が持つ iPad mini 2もそういう機種でした。そのため、フロントカメラより解像度の高い動画をバックカメラで撮影したくなりました。上の二つの動画は、こういった経緯で撮影したものです。簡単に撮影方法をご紹介すると、これらの動画は、高倍率で撮影するためにバックカメラのレンズの上にグリセリンでかなり小さい液滴を作り、さらに歪の気にならないところまでズームして撮影しています。カメラの解像度が高ければ高い程、その程度によってかなりズームをしてもそれなりに綺麗な動画を得られます。
3 多くの機種で、フロントカメラよりもバックカメラの方が解像度が高いので、フロントカメラでのミジンコスコープに慣れたらバックカメラを使ったミジンコスコープに挑戦されることをお勧めします。ご要望が多いようであればバックカメラを使ったミジンコスコープの作成方法の記事を書くかもしれません。
4 「バックカメラを使ったミジンコスコープ」は、フロントカメラを使ったものよりも少し複雑で予算も余分にかかります。
5 「様々な倍率」を言い換えると「様々な形状のグリセリンで作る液滴」。
6 たとえばトレーシングペーパー。
7 厚い紙だけで正確にピントが合わなかった時に、薄い紙を用意しておけば正確なピント合わせができる可能性が高くなります。
8 たとえば24×32mmのカバーグラスであれば大丈夫。
9 これも長辺が32mm以上あれば大丈夫。
10 コピー用紙を使って作られる拡散光は、トレーシングペーパーよりも暗くなり、照明の光の強さによっては像がノイジーになる場合があります。
11 言い換えると、小さな液滴をレンズとして用いないとき。
12 顕微鏡用の油浸オイル(イマージョンオイル)でもいいです。
13 前述したように水で代用することもできます。
14 100mlサイズであれば、400円前後で購入できるでしょう。
15 目に見えないような気泡が作られている場合もあります。この場合は、2.の工程で泡のようなものが写っていることに気が付きますので、その場合はそこで作り直してください。
16 スポイトや小型の注射器を使おうが、爪楊枝などを使おうがということ。
17 部屋の照明の種類や強さそして場所によってこの映像の作られ方は変わります。しかし、うまく液滴でレンズが作られていたならピントが合っているところが一つもないという点で一致します。
18 グリセリンの液滴で作ったレンズをその先で触らないように注意してください。
19 カメラが付いていたり、指で触って操作ができる液晶がついていたりする面のことを言っています。
20 必要により一辺が1.5cm~2.0cmぐらいの正方形の紙を大きな紙から切り出して作ります。
21 3mm[10円玉2枚]+1mm[プレパラート]=4mmなので、もう一枚10円を重ねるとピント位置を越えてしまう可能性があるため、10円は2枚重ねが限界です。それから、測った高さが余りにもいい加減だった場合はうまく計算通りにはいかない場合もありますので、紙を積んでいってピントがどんどん合わなくなる場合は積んでいる硬貨の数を減らしてから紙を積み直してください。
22 具体的には、高倍率で撮影するために、小さな液滴を作り、綺麗な像を得るために絞りを設置し像を整えるためにトレーシングペーパーで覆い、さらにズームして綺麗なところだけを切り出すやり方で撮影しています。